2月 2019アーカイブ

Hさんの場合

Hさんは、准看護師の資格しか持っていません。准看護師で66歳です。ほかのステーションなら働けていたかどうかわかりません、と言います。資格の種類や年齢よりも、経験や経験による知恵を、今のステーションの経営者が重視してくれたから、働けたと言えるでしょう。
現状では、訪問看護の仕事は看護師でも准看護師でも、やっていることは同じです。その差は、給与の違いだけです。体力的なハンデは、健康であれば乗り越えられます。経験が必ず生きるので、人間力が重要と言えます。
ターミナルケアの患者さんで、印象に残っている方がいらっしゃるそうです。その患者さんはご高齢で腎臓の機能が衰えて、命をつなげるには人工透析しかないという状況だったそうです。ご本人は、人工透析はせず、残りの日々は自宅で過ごしたいと希望されました。在宅看護になってからは、腎臓機能は衰えていき、全身に発疹が広がりました。お風呂のあとには、軟膏を塗らなくてはなりません。その患者さん宅は、看護に行くと、いつも誰かが、そばについていたそうです。奥様だったり、娘さんだったり、お孫さんだったり、いろいろです。それぞれが、できる限りで看護をし、在宅介護において理想的と言える状態でした。しかし、だんだんと病状は悪化して、最期は全身の機能が落ちて息を引き取られました。
十数人の、ご家族全員と見られる方たちに、看取られたのですが、誰も取り乱しませんでした。おじいちゃん、大変だったね、つらかったねと、穏やかに声をかけていたそうです。死亡処置をするために、お清めをさせていただきますと伝えると、皆さんが私たちにもさせてください、と言います。涙はあるのですが、ご家族は患者さんとの思い出を静かに語り合っていました。患者さんに対して、やるべきことはやった、思い残すことはない、そんな穏やかな看取りでした。
そんな中、患者さんの小学校1年生になるお孫さんが絵をくれて、「これは看護師さん。私、大きくなったら看護師さんになるの」と言いました。この仕事をしていて良かったと本当に思ったそうです。

Yさんの場合

訪問看護師のYさんは、乳幼児から小児、20歳くらいまでの子供たちを担当しています。在宅看護師になってから20年近くが経っています。在宅で小児を受け持つ看護師はあまり多くはありません。それは患者の数が少ないからです。
小児が訪問看護をするケースは難病であることが多いと言えます。そのケースでは法律で医療費が無料になる場合が多く見られます。ただ、母親が子供に付きっ切りになってしまい、働けない場合もあります。母子家庭の場合は生活保護を受けていることもあるでしょう。しかし、医療費は無料でも交通費は掛かってしまいます。ステーションによっては、交通費をステーションが負担することもあります。
患者さんやその家族と向き合う時間が、訪問看護師の場合は長いです。そのため、気づくことも多くあります。病院のように大きな組織ではないので、早く問題を解決することもできます。その結果が、いい看護につながっているのです。それは訪問看護の喜びと言えるでしょう。
小児の訪問看護では、患者さんである子供にとって、お母さんは一番です。母親が子供を思う気持ちもとても強く、ケースによっては訪問看護師より、病気について勉強をしていることもあります。本来は、訪問看護師のほうが、医療に対する技術や知識を多く知っていなくてはなりません。ですが、お母さんの熱意にはすごいものがあります。教えられることもあります。ですから、そんな母親よりも、たくさんの技術と知識を持っていなければ信用はしてもらえません。母親を納得させる看護をすることが重要です。日々の勉強と努力の積み重ねがとても大切だと言えるでしょう。